後遺障害が認定された場合、逸失利益が損害と認められます。
後遺障害が残ると、働く能力に支障が出るのが普通です。
そうすると、収入も下がります。
その収入減少分を損害とみなし、賠償がなされるのです。
収入減少による損害を、逸失利益と呼びます。
逸失利益がどのくらいになるのかは、主に、3つの要素で決まります。
1番目の要素は、収入です。
全く働けなくなってしまった場合、年収が100万円の被害者と1000万円の被害者では、後者の方が賠償額が高くなります。
2番目の要素は、労働能力喪失率です。
事故に遭うまでの労働能力を100とした場合、後遺障害によってどのくらい労働能力が落ちたかを示すのが労働能力喪失率です。
事故に遭う前は100あった労働能力が、55になってしまった場合、100のうち45減少したことになりますので、労働能力喪失率は45パーセントということになります。
労働能力の喪失が5%にとどまる被害者よりも、労働能力が45%喪失した被害者の方が、通常は多額の賠償を受けることができます。
労働能力が何パーセント減少したのかを証明するのはなかなか難しいですが、後遺障害等級に応じて労働能力が何パーセント減少するかについては、一応の目安が定められています。
例えば、後遺障害等級が8級だった場合に、労働能力は45パーセント喪失するとされています。
3番目の要素は、労働能力喪失期間です。
労働能力が喪失したことによる損害が、何年分まで認められるのかが問題になります。
就労可能年数いっぱいまで、例えば67歳まで認められるのが原則です。
ただ、むちうち損傷については12級の場合に労働能力喪失期間を10年程度、14級の場合には5年程度に制限される場合が多いです。
仮に後遺障害が残存しても、むち打ちの場合には、通常、いずれは痛みが軽減して、仕事に支障が無くなると考えられているからです。
ところで、経験上、保険会社側は、脳やせき髄を損傷したような重大事故の場合でも、労働能力喪失期間を例えば10年と期限を切ってくる場合が多いです。
しかし、こういった保険会社にとって都合のいい提案に付き合う必要はありません。
脳やせき髄の損傷の場合には、やはり就労可能年数いっぱいまで認められるべきでしょう。
このような場合には、裁判例も、労働能力喪失期間を制限をしない傾向があります。
私が担当した事件でも、高次脳機能障害や外傷性てんかんなど、脳を損傷した例で、保険会社側の弁護士が裁判で、平気で労働能力喪失期間を10年に制限すべきなどと堂々と主張してきて、びっくりしました。
そういう主張をする弁護士はひとりだけではありません。何人もいるのです。
最初のうちは動揺しましたが、今では慣れてしまいました。
交通事故の交渉に慣れていない方が、法律家に頼ることなく交渉に臨んだ場合、そんなもんかと相手の提案を受け入れてしまうのかもしれません。
とんでもないことです。
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