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自動車の破損・変形から衝突速度が分かる

車両の破損状態から速度がわかるのか

自動車同士での交通事故では、しばしば、それぞれの車両の過失割合(責任の重さ)について激しく争われますが、過失割合を決めるにあたっては、自動車の速度が重要な要素となる場合が多々あります。

そこで、衝突した自動車の破損の状態から衝突時の速度を推定することができれば便利です。

本件では、車体の破損から衝突速度を求める方法について、簡単なケースを使って考えます。固い壁に向かって自動車が走行し衝突したというケースです。

破損個所と破損の程度から衝突速度を大まかに推定する

自動車の破損個所を見れば、自動車のおおよその速度の目安をつけることができます。下の図をご覧ください(わかりやすいように単純化しています)。

例えば前輪が後退してフロントドアの下部に接触しているものの、フロントピラーの変形が小さい場合には、衝突時の速度は時速50キロを超えていたが時速60キロには達していなかったであろうと推定できるわけです。

なお、フロントピラーが大きく変形する衝突速度については、図では60km/hとしていますが、65km/hとする文献もあります。

もっと正確な内容を知りたい場合は、自動車事故工学についての文献をご参照ください。より正確で細かい情報が得られます。例えば、「林洋 (平成4年) 実用自動車事故鑑定工学 66頁以下」、「江守一郎 (昭和60年) 実用自動車事故工学 185頁以下」等です。

残念ながらこれらの書籍は絶版により現在は入手困難となっています。古本も希少本あつかいで高値がついていることが多いです。困ったものです。そこで、近隣の図書館の窓口に問い合わせて蔵書がある図書館から取り寄せてもらうのが現実的です。東京近郊ならば、国会図書館で閲覧・コピーをするという方法もあります。

車の変形量から衝突時の速度を推定する

自動車が前から固い壁に強く衝突した場合には、車体前部が潰れて車体が短くなります。「車体が衝突によってどの程度短縮するのか(=変形量)は衝突速度におおむね比例する」ということがわかっています。衝突後の自動車の変形量を確認すれば、衝突時の自動車のおおよその速度を推定することができます。

非常にシンプルに言うと、変形量が20cmの場合は時速約20キロ、変形量が40cmの場合には時速約40キロで衝突したと推定することができます。

変形量と衝突速度の関係についての説明は文献によって微妙に異なるのですが、「佐藤武 編著 自動車交通事故とその調査 98頁」で紹介されている以下の関係式がシンプルでわかりやすいと思います。

 (塑性)変形量(m)=衝突速度(km/h)×0.0095

なお、塑性変形とは、元に戻らない変形のことです。衝突により車体が大きく変形(最大変形)しますが、瞬時に、多少の復元をします。復元しきれずに残った変形のことを塑性変形と言います。

実際に衝突速度を当てはめてみましょう。

  • 衝突速度20km/hの場合の塑性変形量(m)は、20×0.0095=0.19です。センチメートルに直すと、19cmとなります。
  • 衝突速度を時速40km/hの場合は40×0.0095=0.38となるので変形量は38cmです。

以上より、おおよその目安として、Xkm/hで衝突した場合、約Xcm変形すると考えることができます。

注意すべき点

以上はおおよその目安です。速度が非常に小さい場合には、自動車は殆ど変形しません。時速2キロだから2cm変形するということにはならないのです。変形量が小さい場合、自動車の変形量から正確な衝突速度を出すことは難しくなります。

そして、何よりも注意しなければならないのは、これまで述べたことは、前から固い壁にぶつかったという最も単純なケースを想定していることです。

したがって、

  • 斜めに衝突した場合や、後ろから衝突された場合、側面に衝突された場合には当てはまりません。
  • また、停止している他の車両にぶつかった場合には、壁にぶつかった場合と比較して、同じ速度で衝突した場合でも、変形量は小さくなります。

動いている車両同士の追突事故での車両の変形と衝突速度の関係については、以下の記事で説明しています。ご覧ください。

車体吸収エネルギー分布図を用いた方法

今まで紹介した手法は、伝統的な方法です。比較的新しく出版された文献では、車体吸収エネルギー分布図を使ってバリア換算速度を求める方法を紹介していることが多いです。

車体吸収エネルギー分布図では、細かく分けられたマス目に数字が書いてあります。変形した車両の俯瞰写真と分布図を重ね合わせ、車体変形部分に対応する分布図の数字を合計して車体の変形に要したエネルギーを求めて衝突速度に換算するという方法です。

本記事で紹介したような伝統的な方法はシンプルで使いやすいのですが、吸収図を用いた方法の方が車体の形状が多様化した現在の状況を反映しており正確です。

以下の文献で詳しく解説されています。特に2は今でも入手しやすいと思います。

1.山崎俊一 交通事故解析の基礎と応用 東京法令出版

2.牧野隆編著 捜査官のための交通事故解析 第3版 

変形量と衝突速度の関係については、以下の記事でもう少し詳しく説明しています。

バイクの変形と衝突速度との関係については以下の記事をご覧ください。

示談交渉や訴訟になった場合の流れについては以下を参照ください。

 

 

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