本記事は、以下の記事の続きです。
本記事でも、「その2」に続き、次のような簡単なケースで説明します
被害者はサラリーマン。
数か月むち打ちの治療をして完治。
後遺障害(後遺症)は残らなかった。
「その2」で述べた通り、示談内容では、次の4つが重要です。
その2では、「通院慰謝料」について述べました。
本記事(その3)では、休業損害、治療費、交通費の順番で説明していきます。
休業損害については、下記の計算式で計算します。
【計算式1】
1日当たりの基礎収入額×休業日数=休業損害
サラリーマンの場合、勤務先の人事担当者に休業損害証明書を書いてもらいます。
休業損害証明書を見れば、基礎収入も休業日数も明確になります。
基礎収入は事故前3カ月の総支給額を90日で割って求めます。
【計算式2】
1日当たりの基礎収入額=事故前3カ月の総支給額÷90(日)
下記の通り、休業損害証明書には、休業した日や事故前3か月間の月ごとの給与額を記載する欄があります。
これらを見れば、サラリーマンの休業損害は簡単に計算できます。
従来の実務においては、上記の方法で計算することが妥当とされてきました。しかし、この手法には最近、疑問が呈されています。勘のいい方なら気が付いたかもしれません。この方法は、保険会社に若干、有利なのです。
【計算式2】では、1日当たりの基礎収入額を求めるにあたり、事故前の3カ月の総収入を90日で割っています。しかし、90日には本来の出勤日だけではなく、休日も入っています。したがって、この「1日当たりの基礎収入」は、出勤日に支払われる日給よりも安くなっているのです。
正しい方法としては、90日ではなく、3か月間の稼働日数(休日を除いた日数)で割るべきだと思います。
ただ、実務的には、基礎収入を求める際に90日で割るという運用が長く行われてきたので、自ら相手方保険会社と交渉して稼働日で割ることを認めてもらうのは大変かもしれません。
相手方が任意保険に入っている場合、治療費は、医療機関が相手方保険会社に直接請求するのが通常です。したがって、現実には被害者が出さなくて済むことが多いでしょう。
しかし、自分の健康保険証を使って治療費を支払った場合、あとから保険会社に請求することができます。
通院のための交通費については原則として実費を請求できます。
電車やバスなどの交通機関を利用した場合は支払ってもらえることが多いでしょうが、タクシー代の場合は保険会社から争われる場合があります。
なぜ電車やバスではなくタクシーを利用せざるを得なかったのかについての合理的な説明が必要でしょう(本記事では細かい説明は割愛します)。
自家用車などを利用して通院した場合は、ガソリン代を請求します。
ガソリン代は、以下の計算式により求めます。
なお、自宅から病院までの距離については、今はスマホのアプリなどを利用すれば、簡単にわかりますね。
【計算式】
病院と自宅の往復距離(km)×15円×通院回数
「その1」から「その3」まではサラリーマンの人身損害(むち打ち、後遺症なし)という比較的判断が容易なケースについて説明しました。
被害者が主婦(あるいは主夫などの家事従事者)の示談の場合には、サラリーマンの場合よりも難しい問題が生じます。
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