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自動車は動いていたのか止まっていたのか・・・車体の傷を見て判断する

自動車が動いていたのか止まっていたのか、激しい争いになることがあります。

動いていたのか止まっていたのか、どのように判断をするのでしょうか。

具体的な例で説明しましょう。

私が担当した事件を参考にして創作した架空の事例です。

以下の具体例の登場人物は、実在の人物とは無関係です。

 

具体例その1

下の図を見てください。

 

道路の左端に赤い車が右ウインカーを出したまま、停車していました。

赤い車が動く気配がなかったため、青い車は右から赤い車を追い抜こうとしました。

 

しかし、青い車が赤い車を追い抜く前に赤い車が突然動きだしたため、衝突してしまいました。赤い車は駐車場に入ろうとして、後方を確認せずに右折したのです。

 

赤い車は、「自分は絶対に動いていない」と言い張りました。

「青い車が赤い車との間の距離を十分に取らずスレスレで追い抜こうとしたために接触した」と主張したのです。

 

赤い車が動いていたのか止まっていたのかを判断するためには、青い車の傷を見ます。 

青い車の左前側面に下の図のような凹み傷があったら、どうでしょうか。

 

左側に凹みがあることから、青い車は左から押されたことがわかります。

赤い車の車体の右前部が、青い車の車体の左前側面に食い込んで凹みができたのです。赤い車は停車しておらず、動いて青い車にぶつかってきたのです。

 

仮に赤い車が動いていなかったとすれば、青い車のボディ側面には、下のイラストのように、凹み傷ではなく、擦り傷がつくはずです。

 

 

具体例その2

下の図のように、赤い車が前方を走行し、青い車は後方を走行していました。

赤い車が減速して停車しました。

それを見て、青い車も急ブレーキを踏んで、停止しました。

 

赤い車が後方を確認せず、突然、後退しはじめました。

後退右折して、道路沿いの駐車場に入りました。

その際、青い車に接触してしまいました。

 

 

 

青い車は止まっていましたが、赤い車のドライバーは、青い車が動いていたと主張しました。

 

赤い車についた傷は、凹み傷ではなく、擦り傷でした。

もし、青い車が動いていたら、青い車のボディーは赤い車に食い込み、凹み傷になるはずです。しかし、赤い車には凹み傷はついていません。

したがって、赤い車の主張は誤りだと考えられます。

 

しかし、赤い車のドライバーは、別の観点からの反論をしました。

 

衝突位置は赤い車の左前輪付近です。下の図の緑の矢印の箇所です。

 

 

赤い車のドライバーはこう言いました。

 

「もし、青い車が止まっていたのであれば、先に、赤い車の後部が青い車にぶつかるはずである。後部が青い車に当たらなかったのは、青い車は赤い車から離れていたからだ。その後、青い車が前進して、赤い車の前部に衝突したのだ。」

 

 

赤い車のドライバーの反論は、一見、理にかなっているように思います。この反論は通用するでしょうか。

 

そもそも、自動車が後退する時には外輪差があります。

後退時には、後輪よりも前輪の方が外側を通るのです。

内輪差という言葉は聞いたことがある人が多いでしょうが、そのお仲間みたいな現象です。

 

したがって、後輪が青い自動車スレスレで当たらなかったとしても、前輪部分は青い自動車に接触してしまうのです。

 

赤い車のドライバーは、反論を取り下げました。    

 

 

下記記事もご覧ください。

示談交渉や訴訟になった場合の流れについては以下を参照ください。

 

 

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