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車両の傷を見れば、衝突時に加速していたのか減速していたのかがわかる ~その1~

1アクセルを踏んでいたのかブレーキを踏んでいたのかが争われることがある

 

交通事故では、人損、物損事故を問わず、過失相殺が激しく争われます。

衝突時に、各自の車両がどのような動きをしていたかで過失割合が変わり、賠償額にも影響を及ぼすことがあります。

車両の傷を見れば、衝突時にどのような動きをしていたのか分かる場合があります。

 

2.アクセルもブレーキも踏んでいない場合

具体例で見てみましょう。

走行中、壁や電柱、フェンスなどに車体の右側を接触させてしまいました。

 

接触後、ブレーキもアクセルも踏まず(加速も減速もせず)に、同じ速度で走行し続けた場合、どのような傷がつくでしょうか。

 

車体の接触地点は地面から一定の高さの位置にあります。

走行に伴い、車体の前から後ろに向かって、同じ高さの傷がつきます。

したがって、車体には、まっすぐな傷が残ります。

 
 

3.アクセルを踏んでいた場合

では、自動車を加速中に接触した場合はどうなるでしょうか。

 

加速をすると車体の前が持ち上がり、車体の後が沈みます。

スクワットという現象です。

傷は前方から後方に向かって付きますが、加速するにつれ車体の後が沈んでいく一方で、接触箇所は地面から一定の高さのままです。

したがって、傷跡は、後方に行くにしたがい、ボディの上の方に曲がるように残ります。

 

4.ブレーキを踏んでいた場合

では、接触時にブレーキをかけて減速した場合はどうでしょうか。

 

減速をすると車体の前が沈み、車体の後が持ち上がります。

ノーズダイブという現象です。

傷は前方から後方に向かって付きますが、減速するにつれ車体の後が持ち上がる一方で、接触箇所は地面から一定の高さのままです。

したがって、傷跡は、後方に行くにしたがい、ボディの下の方に曲がるように残ります。

 

停止すると、今度は反動で車体の前が上がり、後方が下がります。

傷の末端部分は、上の方に少し曲がります。

 

 

したがって、車体には次のような傷が残ります。

 

5.結論

このように、車体の傷を見れば、自動車が加速していた(アクセルを踏んだ)のか、減速をしていた(ブレーキを踏んだ)のかが分かることがあります。

 

自動車はずっと停止したままだったのか、あるいは、動いていたが慌てて急ブレーキを踏んだのかが争われているケースでも、車両の傷を見ることで、どちらが本当のことを言っているのかが分かるのです。

 

  ただ、常に、こういった判断ができるわけではありません。

  誰が見てもはっきり判断できるような分かりやすい形で傷が残っているとは限りません。

 

下記の記事に続きます。

 

 

示談交渉や訴訟になった場合の流れについては以下を参照ください。

 

 

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