関節の機能障害は、可動域が損なわれる場合だけではありません。関節の靭帯が損傷すると関節が可動してもグラつき(動揺)が残ります。動揺関節です。このような場合も後遺障害と認められる場合があります。
本記事では、膝関節の動揺について説明します。
靭帯の働き
靭帯は、関節の可動域を妥当な範囲に収めるために関節の両側の骨を固定しています。したがって、関節の靭帯が損傷すると関節がグラグラと動揺します。
それぞれの靭帯には別々の役割がありますから、どの靭帯を損傷するかかによって症状が異なります。
この中で、前十字靭帯と後十字靭帯を見てみましょう。
足の骨格を横からみた図です。
前十字靭帯は、膝から下の骨が前にずれないようにしていますが、ここが断裂などの損傷を受けると、膝から下の骨が前に動揺します。
後十字靭帯は、膝から下の骨が後ろにずれないようにしていますので、損傷すると、膝から下の骨が後ろに動揺します。
どのような場合に膝の靭帯を損傷するのか
前十字靭帯、側副靭帯の損傷は、着地の際に損傷しやすいとされています。バスケットボール、柔道、バレーボールなどの着地動作が多いスポーツで起こりやすいです。交通事故の場合には、衝突された歩行者や自転車、オートバイの乗員が着地の際に損傷することが多いです。
後十字靭帯の損傷は、交通事故の際に乗用車の運転席や助手席の乗員の膝下がダッシュボードにぶつかり後方への大きな力が伝わることで生じる損傷が代表的です。
後遺障害を取るために必要な検査
動揺関節が後遺障害と認められるためにもっとも重要な検査は、ストレスXP撮影です。
膝から下の部分に力を加え、前方、後方、あるいは側方にずらしたままレントゲンで撮影します。
膝上の骨と膝下の骨がずれたまま撮影されたレントゲン画像が残ることで、関節の動揺が証明できます。診断書には、具体的に「何mm」ズレているのかについても記載してもらいます。
後遺障害の認定を受ける上では最も重要な検査ですが、実際の医療現場では、医師が徒手で力を加えて膝のぐらつきを確認するにとどまり、ストレスXP撮影までは行われない場合が多いです。
ストレスXP撮影は治療上絶対に必要とはいえない上に、膝に力を加える検査に医師があまり良いイメージを持っていないことが多いのです。
後遺障害を認めてもらうためには、患者側から医療機関に対してストレスXP撮影をして欲しいと申し出ることが必要となる場合があります。
膝の動揺関節の後遺障害等級
膝関節に動揺性が残ったため硬性補装具を使わなければならなくなった場合、下記のとおり後遺障害等級が認定されます。
8級
補装具が常に必要な場合
10級
補装具を時々必要とする場合
12級
普段は補装具は必要ないが特に激しい労働のときにだけ補装具が必要な場合
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