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優先道路側の過失割合がゼロになる場合とならない場合

1.優先道路と信頼の原則

下の図のような、信号機がない見通しの悪い交差点において、優先道路を走行する側には道路交通法上、徐行義務がありません。

優先道路を走行する側は、交差道路を走行する相手方が優先道路側に道を譲ってくれるものと信頼してよいのです。

2.優先道路側の基本過失割合は1割とされている

しかし、過失割合についてのリファレンス本の「別冊判例タイムズ38」によると、優先道路側の基本過失割合が10、交差道路側の基本過失割合が90とされています。わずか10とはいえ、優先道路側にも過失を認めているのです。

「別冊判例タイムズ38」が優先道路側にも一定の過失を認めたのは、「具体的事故の場面では優先車にも前方不注視、若干の速度違反等何らかの過失が肯定されることが多い」からなのだそうです。

ここまでは、すでに別の記事で解説しています。下記のリンクもご参照ください。

「別冊判例タイムズ38」の記載は道交法に矛盾しているようにも見えます。

「別冊判例タイムズ38」 の記載を前提にすると、「前方不注視や速度違反があるはずだから」と十分な検討もせずに1割の過失を負わせても構わないように読めてしまいます。

そうではないという、一味違う裁判例があります。見てみましょう。

 

3.優先道路側の過失割合をゼロとした裁判例

優先道路側の過失割合が激しく裁判所で争われた事案です(名古屋高裁H22.3.31)。

裁判例の事案は、最初の図と少し違っていて、次の図のように、交差道路に一時停止の規制がありました。

ただし、裁判所は最初の図のケースの場合にも妥当する内容の判断を下しましたので、紹介します。

判例の理屈はシンプルです。

まず、優先道路を走行する側は、相手が道を譲ると信頼して走行してよいのです。

前方注視についても、そういった信頼を前提としてよいとしています。「相手が突然優先道路に突っ込んでこないか」と疑って凝視する必要まではないのです。

ただし、例外的に優先車に過失が認められる場合があると言っています。どんな場合かと言うと、優先車が交差道路に進入する車を発見し、ブレーキをかければ衝突する前に停止できるような場合です。こういった「特段の事情」がある場合には、裁判例は、優先車に過失を認めると言っています。ただし、急ブレーキ(急制動)をかけなければ衝突前に停止できないような場合には、優先車に過失はないというニュアンスのことも言っています。

この事案はそういう「特段の事情」はありませんでしたので、優先車に過失が認められることなく、過失割合は0対100とされました。

なお、これは高等裁判所の裁判例です。実は、原審の地方裁判所では優先車側にも一定の過失を認めていました。優先車側も安全のために減速して走行したり、クラクションを鳴らすなどの手段がとれたはずなのにそういう手段をとっていないとして、優先車側にも1割の過失を認めたのです。

もちろん、今後、個々の裁判でどのような判断が下されるのかについては、具体的な事情に左右されますので、常に今回の高裁の判断が妥当するとは言い切れません。しかし、高等裁判所の判断は、信頼の原則に忠実な説得力のあるものではないかと思えます。

 

4.判決文

高裁の裁判例(名古屋高等裁判所 平成22年(ネ)第18号 損害賠償請求控訴事件 平成22年3月31日)の一部を引用しておきます。正確な内容を知りたい方は、下記の引用をお読みになってください。

 

控訴人車は,優先道路を進行していたのであるから,本件交差点を進行するに当たり徐行義務(道路交通法36条3項,42条)は課されておらず,問題となるのは前方注視義務(同法36条4項)違反である。前方注視義務は,「当該交差点の状況に応じ,交差道路を通行する車両等・・・に特に注意し,かつ,できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。」というものである。したがって,控訴人は,本件交差点を通過するに当たり,優先道路を進行中であることを前提としてよい。すなわち,交通整理の行われていない交差点(本件交差点もこれに当たる。)において,交差道路が優先道路であるときは,当該交差道路を通行する車両の進行妨害をしてはならないのであるから(同法36条2項),控訴人は,被控訴人車が控訴人車の進行妨害をする方法で本件交差点に進入してこないことを前提として進行してよく,前方注視義務違反の有無もこのことを前提として判断するのが相当である。そうすると,優先道路を進行している控訴人は,急制動の措置を講ずることなく停止できる場所において,非優先道路から交差点に進入している車両を発見した等の特段の事情のない限り,非優先道路を進行している車両が一時停止をせずに優先道路と交差する交差点に進入してくることを予測して前方注視をし,交差点を進行すべき義務はないというべきである。本件においては,前示の事故態様に照らし,上記特段の事情は認められない。

 

こちらの記事もご参照ください。

示談交渉や訴訟になった場合の流れについては以下を参照ください。

 

 

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