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弁護士扇の長すぎる挨拶 その5

基本的に弁護士というのは勉強好きで真面目な人たちですし、依頼者のために役に立ちたいと強く思っています(もちろん、そうでない人も一部いますが)。

 

そのため、事件を受けた時には医学知識がない弁護士でも、自分が受けた事件について必要な範囲については勉強して、それなりのレベルにまでは到達できます。

 

知識が全く不足した状態で裁判に臨むことは多くはないでしょう。

 

ただ、この方法だとどうしても穴ができてしまいます。

 

 

事件を正式に受けた後に必死に勉強していくというスタイルをとると、正式に事件を受ける前の段階での準備が不十分になってしまいます。

 

例えば、後遺障害の認定を受ける前の準備段階の相談に充分対応することができません。

 

 

症状が固定するよりもずっと前の段階でしておくべきことについて的確なアドバイスができないことが多いのです。

 

 

今は相談者、依頼者は十分にネットなどで知識を仕入れ自分の病状について詳しくなって相談に臨むことが多いです。

 

そのような相談者が、十分な知識を持たない弁護士に相談をしても、目の前にいる弁護士が、当然に知っておいて欲しいことについてほとんど知らないことに気が付きます。これでは、依頼する気にはならないでしょう。

 

 

わたし自身も、交通事故相談においてそういったもやもやしたものを感じることが多く、少しずつでも医学の勉強をしなければならないと思うようになりました。

 

もちろん、医療の素人である弁護士が医療従事者のレベルまで持っていくことはまず不可能です。

 

 

医療関係者を除けば、交通事故に関する医療について強いのは、損保の担当者です。

 

大半の弁護士よりも豊富な知識と経験を持っています。

 

その損保の担当者のレベルに少しでも近づくことが、目標となります。

 

長年保険会社の顧問医をされている井上久医師の著作は、勉強熱心な損保の担当者の間で広く読まれています。

 

その本の中で、交通事故を担当するにあたっては医学部の学生レベルの知識を習得することが望ましいとの指摘がありました。

 

 

なかなか高いハードルです。

 

とはいっても、ものは考えようです。

 

医学については、現実に臨床現場で患者を診療するのと、座学的な知識を頭に入れるのとでは雲泥の差があります。

 

座学的な知識の習得は本当にスタートラインに過ぎないといわれています。

 

我々弁護士は実際に患者を診療して治療をするわけではないので、まずはスタートラインである座学の知識の取得を目指せば良いわけです。

 

また、膨大な知識を持つ医学生と医師国家試験の点数を競い合うようなことも求められません。

 

そう考えるとハードルはかなり下がります。

 

なんとかなりそうという気持ちになりました。

 

 

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